愛してティーチャー!&恋してピューピル!<七夕編>



「見て先生、綺麗な天の川だね」


有岡が指をさす先を見て、月代は目を細めた。

暗い青の空には、星の川が雄大に流れている。


「ああ、そうだな」


月代の返事に、有岡は嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。





愛してティーチャー!&恋してピューピル!<七夕編>





空の狭い都会では見れない天の川も、この空の広い山の近くの田舎ではよく見えた。

月代がたまたま近所の商店街の福引きで当てた1泊2日の温泉旅行。

小さな温泉宿で、二人は寄り添いあって夜空を見上げている。

どちらからともなく、二人はそっと指を絡めあった。


「ねえ、知ってる?先生。天の川って実は何万光年分も離れてるから、織姫と彦星が7月7日に逢えることって絶対にないんだって」
「そうか」


月代は優しく微笑んで、有岡の肩にそっと頭を載せる。

有岡もそっと、その髪に頬を寄せた。


「愛し合ってるのに逢えないって、哀しいね」
「ああ」


そっと、月代の髪に唇を押しあてる。

月代の白い手の甲を、有岡の指が悪戯に撫でた。


「ねえ、先生。俺たちはずっと一緒だよ」
「ああ」
「たとえ俺と先生が天の川で引き離されたって、俺泳いで先生に逢いに行くからね」
「ああ」
「7月7日だけなんて嫌だよ。あの川を泳ぎきって先生を捕まえたら、絶対に離さない」


有岡の言葉に、月代はくすりと笑う。

その顔は確かに、幸せに満ちていた。


「ああ」


月代からの言葉は、それだけで十分だった。

絡めあったお互いの指に、きゅっと力を込める。

宿屋の着物越しに感じるお互いの体温が、愛おしい。

寄り添いあったまま見つめあって、そっと唇を合わせる。

お互いの唇から、初夏の香りがした気がした。


「ねえ先生、織姫と彦星、今年は逢えたかな・・・・?」
「・・・・ああ、きっと、な・・・・」





<七夕編・Fin>
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7/7の日記で更新報告がてらにちゃちゃっと仕上げた小話。
ラストはギャグオチにしようかと思ったんですが予想以上に甘くなったんでそのまま終わらせました。
月代が福引きで温泉旅行を当てたのは同人的な理由です。 ←
多分この二人を見て織姫と彦星は砂糖吐いてると思います(笑)
つーか月代ほとんど喋ってねぇぇえええッ!!!



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