愛故に



「ねえ、いつまでそうしてるつもりだい?」


雨宮は呆れ果てたような困り果てたような表情で肩を竦めた。

それでも台詞の先の相手は一向に反応しない。


「ねえ、古野君」


一瞬、彼の肩が跳ねた。

しかし古野はその腕に抱いたぬいぐるみをさらにぎゅっと抱きしめただけだった。

正直、雨宮にとって今の古野の姿は悶絶しそうになるほど可愛い。

だが自分のプライドを優先し、そんな暴走しそうな理性を抑え込む。

そんな健気な自分に乾杯。

古野はむすっとした顔でさらにぬいぐるみを抱き込む。

ぬいぐるみに喋る能力があったら、相当苦しんでいるに違いない。

ベッドの上で足を抱え、壁の隅っこに小さくなっている。

あ、ヤバイ。可愛い。


「ねえ、古野君。僕よりそんなぬいぐるみの方がいいのかい?」
「・・・・だって、ぬいぐるみだったらヤろうなんて言わねえもん」


やっと古野が口を開いた。

古野の言葉通り、そういうコトで今一悶着起こしているのだ。

雨宮は額を押さえると深々と溜息を吐いた。


「ヤろうなんて言ってないよ。愛し合おうって言ってるんだよ」
「いいように言うな」


古野はむくれた顔で雨宮を睨み上げる。

その表情すら自分の理性を煽っていることを、きっと知らないのだろう。

雨宮はまた溜息を吐いた。

ベッドに足を乗せると、バネがギシッと軋んだ。

古野の肩がびくりと跳ね、ぬいぐるみを抱きしめる腕にさらに力がこもる。

それを気にせず、ベッドの上を這うように古野に近づく。

古野の前まで来て壁に手をつくと、ほらもう逃げられない。

古野は俯いてしまった。


「ねえ古野君。僕とするのは嫌い?」


我ながら意地の悪い質問だ。

ぬいぐるみを抱きしめるその腕に、さらに力がこもったのを見た。

その腕に抱かれたそれが人間だったらとっくに死んでいるだろう。


「・・・・嫌いじゃ、ない」


やがて古野がぼそりと呟く。

気持ちイイことが好きな古野が、自分とのSEXが嫌いなはずがない。


「じゃあ何で?」
「・・・・だって、昨日もシた」


小さな声で、呟く。

そんなの日常茶飯事だ。

今更拒む理由ではあるまい。


「違うでしょ。どうして?」


悪戯した子どもを問いただすように問う。

古野は顔を伏せたまま何も言わない。

そろそろ顔を上げてほしい。


「・・・・明日、体育あるから」


ああ、そういえばと雨宮は思った。

明日は体育の授業がある。

しかも、確かテストだったはずだ。

今はサッカーだから、シュートのテストか。


「でも、僕は今日も君を愛したいな」


びくりと、古野の肩がまた跳ねる。

またぬいぐるみを抱きしめる腕に力がこもる。

そろそろイライラしてきた。

古野にではない。

ぬいぐるみに。


「そんなに強く締め付けたら可哀想だよ」
「あっ」


素早く古野の腕からぬいぐるみを引き抜いた。

その拍子に顔を上げた古野の顎を素早く掬い上げる。

ぬいぐるみはぽてん、と床に落ちた。


「悟」


雨宮が耳元で彼の名前を囁く。

古野がいやいやするように首を振った。

唇を塞ごうとしたら顔ごと避けられた。

むっとして腕ごとその身体を抱きしめる。

びくりと震えた身体を無視して、その耳に舌を這わせた。


「あッ!いや・・・・いやッ」


古野の腕が雨宮の胸を押し返すが、勿論優勢なのは雨宮だ。

古野の身体を壁に押し付け、さらに強く抱きしめる。

耳全体に舌を這わせ、食んで、舌を差し込む。

身体を震わせながら、古野は悲鳴のような喘ぎ声を上げている。

ああ、可愛い。


「ねえ、悟。僕のことは嫌い?」
「い、いや・・・・やめて・・・・や、あ、あっ」


くちゅくちゅと音を立てて耳を愛撫する。

古野の顔が赤く上気し、息が弾んでくる。


「ねえ、悟」
「あ、も・・・・勝手にしろよ、バカぁッ!」


目尻にうっすらと涙を浮かべながら、古野は半ば投げやりに怒鳴った。

古野の手が自分の身体を抱きしめる雨宮の腕を掴む。

雨宮は嬉しそうに笑った。


「ありがとう」


古野は、雨宮を見た。

その顔に、本当に嬉しそうな笑みを浮かべている。

古野の胸が、きゅうと締め付けられた。

古野の身体を抱きしめ、その唇にキスを落とす。

しっかりと重ね合って、舌を絡め合う、濃厚で甘い口づけ。


「ん、ん、んっ、ふぁ・・・・っ」


舌を絡めて吸い上げる度に古野の身体がびくびくと跳ねる。

ああ、愛おしい。


「は、ねえ、悟。僕は君にSEXを要求することがほぼ毎日だけど」
「あ、あんッ!あ、あ、は・・・・っ」
「君[で]いいんじゃない。君[が]いいんだ」


耳元で、甘く囁く。

古野は固く目を閉じて身体を震わせた。

耳にかかる雨宮の吐息が、熱い。


「君だから抱きたい。抱いても抱いても君への愛を伝えきれない」


相変わらずキザな奴だ。

その口ぶりは本気そうだが、腹の中まではわからない。

口だけなら、何とだって言える。


「愛してるよ、悟」
「ん・・・・ッ」


雨宮の舌が、古野の首筋を這う。

綺麗な細い指が、古野の服を剥いでいく。

首筋を這う舌が肩、鎖骨へと伝っていく。

雨宮の舌が、熱い。


「あ、あ・・・・は、ぁ・・・・っ」


古野は潤んだ瞳でそれを追う。

服の上から、古野の乳首を口に含んだ。

ひく、と古野の喉が引きつった。

硬くなったそれを舌で転がし、時折吸い上げる。

もう一方のそれを指先で遊んだ。


「ん、んっ、ぁ・・・・やっ」


古野の服のボタンを外して、白い肌に唇を寄せる。

今度は服越しではなく、直接口に含んだ。


「はっ、あぅッ!」


軽く甘噛みすると、古野の身体が一層跳ねた。

舌で転がし、時折吸って、甘噛みする。


「ん、あ、や・・・・」


すすり泣くような、古野の喘ぎ声。

普段の凛とした声からは想像もできない、高い甘い声。

それが自分のものだけだと思うと、雨宮は無性に嬉しかった。


「悟・・・・」
「あ・・・・雨宮・・・・ッ」


細い身体を抱きしめて、頬に唇を滑らせる。

首筋に唇を滑らせると、古野はびくりと身体を震わせてくぐもった声を上げた。

古野の下腹部に、下を伸ばす。

ベルトのバックルを外して、ジーパンのチャックを下ろす。


「あ・・・・あぅ・・・・」


既に起ち上がり始めたそれを握りこむと、古野は眉を寄せて貌を歪めた。

雨宮は微かに笑うと、下着の中に手を突っ込んで直接握りこんだ。


「あッ!あ、雨宮・・・・雨宮っ」


上下に扱くと、古野は悲鳴のような声を上げた。

雨宮の肩を掴む震えるその手に、力がこもる。

下着ごとズボンを脱がせて、それに舌を這わせた。


「あ、ダメ!雨宮、雨宮ぁッ!!」


亀頭を舌で擦り、竿を手で擦り上げ、裏筋に舌を這わせ、ちゅうと音を立てて吸い上げる。

古野は顔を真っ赤にして固く目を閉じた。

溢れた透明の雫を手で掬い上げ、後ろに擦り込む。

昨夜も遅くまで自分を受け入れていたそこは、ぐぷりと音を立てて雨宮の指を飲み込んだ。


「あ、あぁんッ!!」


古野が女のような悲鳴を上げる。

雨宮が、笑う。


「ナカの始末、しなかったの?」


中をかき混ぜながら雨宮が意地悪げに問う。

古野の中には確かに、自分が昨夜出したものが残っていた。

古野は固く閉じていた目を開けて雨宮を睨み上げる。


「朝まで放さなくて遅刻させたのどこのどい、んんッ!!」
「僕だね」


最後まで言わせず、雨宮は指を一本増やした。

快感に貌を歪めた古野を見て、雨宮は目を細めながらいけしゃあしゃあと言う。

ぐちゃぐちゃと、音を立てて中をかき混ぜる。

昨夜自分が出したものが、指を伝って溢れ出した。


「あ、あ、あぅ、あ・・・・ッ」


溢れだしたのがわかったのだろう、恥ずかしさに古野は泣きそうに顔を歪めた。

雨宮は楽しそうに目を細める。

このために、今朝はわざと遅刻させたのだ。

朝方まで激しく抱き、朝も遅刻の時間まで放さない。

昨夜はほとんど寝ていないので、授業中も休み時間も寝通しだった。

帰るときもさっさと教室を出ようとする古野を捕まえて一緒に寮室に戻ってきた。

帰ってきてからも抱かせろと古野に迫って1時間。

古野に始末をする時間は、与えてやらなかった。


「ねえ、どんな感じだった?ナカに僕のが残ってるの、わかった?」
「あ、いや・・・・この変態!」


涙目で睨み上げられてもちっとも怖くない。

雨宮は意地悪げに笑って見せた。


「その変態に抱かれるのが好きなのはどこのどいつだよ」
「あ、ああッ!!」


更に指を増やして、ばらばらに動かす。

前立腺を擦り上げると、古野の身体がびくびくと跳ねた。


「その変態に抱かれて、突っ込まれて、突き上げられて、君の方が変態じゃないのかい?」
「あ、いや・・・・ちが・・・・っ」


古野の貌が、泣きそうに歪む。

指を引き抜いて、猛った自分のそれを押し付けた。

浅いところで抜き差しすると、古野がか細い悲鳴を上げる。


「ああっ・・・・雨宮・・・・ッ」
「どうしてほしい?」


意地悪く問う。

古野は顔を歪めた。

親父、と内心で毒吐く。

雨宮の首に腕を回して、その耳に唇を寄せた。


「奥まで突っ込んで、突き上げて、俺を善がらせてみろよ。聡一郎」
「・・・・ッ」


その耳を少し力をこめて噛んで、舌を這わせる。

顔を覗き込んで唇を舐めて見せると、雨宮は余裕のない笑みを浮かべた。


「本当に、君は僕を煽るのが上手いね。悟」


雨宮の瞳は、欲に狂った獣だった。

古野の背筋をぞくぞくと何かが這い上がる。

雨宮のこの瞳が、結構好きだ。

雨宮の手が古野の細い腰を掴んだ。

瞬間、一番奥まで一気に押し込まれた。


「ひ、ああッ!や!あ!雨宮ッ!!」


びくりと身体を震わせて目を見開いた古野に構わず、勢いよく突き上げる。

古野が悲鳴のような声を上げた。


「あ、あッ!や、あ、んッ、あ、雨宮!ね、もっと、優しくッ」
「煽ったのは君だろう。責任とれよ」


冷たく吐き棄てて、古野の細い脚を肩に担いだ。

昨夜出したものが、ぐちゅぐちゅと音を立てる。


「あ、や、やぁん!は、激し・・・・ッ、か、はッ」


雨宮が動くたびにぎしぎしと、ベッドが苦しげに軋む。

古野は激しさに呼吸すらままならなかった。

酸素を求めて口を開け、舌を伸ばす。

その口を、雨宮が自分のそれで塞いだ。


「ん、んんうッ!ん、ぐっ、ふ、んんッ!!」


苦しさに古野が呻き声を上げた。

古野がより一層、強く雨宮を締め付ける。

古野が雨宮の背中をどんどんと叩くまで、雨宮は夢中で古野の唇を貪った。


「は、はぁッ!こ、殺す気か・・・・ッ」


唇を放すと古野は夢中で空気を吸い上げた。

その間も、雨宮は古野を突き上げるのをやめない。

激しさの所為か繋がったそこから、昨夜のそれが溢れ出してシーツを濡らす。


「あ、あ、雨宮っ、おねが・・・・もっと、優しくしてぇッ!」


あまりの激しさに、古野が泣きながら懇願した。

その貌が、雨宮の情火を煽る。

古野の両脚を肩に乗せて、雨宮はさらに奥まで突き上げた。

古野の細い身体が弓なりに反りかえった。


「あ、か、はッ!し、死ぬ・・・・死ぬぅッ!!」


古野は目を見開いて、死にそうな声を上げた。

白い首筋に、雨宮が舌を這わせた。

そのとき、

電子音が、部屋に響き渡った。

雨宮は動きを止めると顔を上げる。

身体の下で、古野が必死に酸素を吸っている。

音の元は、ガラスのローテーブルの上に置かれた古野の携帯だった。

ディスプレイには古野の後輩で幼馴染の中柴の名前が表示されている。

雨宮はにやりと笑うと、それを手に取った。

手を伸ばす古野に渡そうとして、また突き上げる。


「ひ、あああッ!!」
「ほら、古野君。出なくていいの?」


目を見開いて悲鳴を上げた古野に、雨宮は笑って見せた。

古野の携帯はまだ持ち主を呼び続けている。

雨宮が激しく突き上げてくるので、通話ボタンを押すこともできない。

そもそも今電話を出たらどうなるかなど、想像もしたくない。


「ほら、悟」
「く、はッ、じゃ、動く、な・・・・ッ」
「動いてたって電話には出られるだろう?」


携帯は諦めずに、古野を呼び続ける。

雨宮は古野の手からそれをさっと取ると通話ボタンを押した。


「もしもし?中柴君?」


古野が目を見開いたのがわかったが、それを無視して電話の向こうの相手を呼んだ。


『あれ?雨宮?俺間違えたか?』
「ああ、今古野君出れないみたいだから僕が代わりにね」


古野を見下ろして、にやっと笑って見せる。

古野の貌が蒼褪めた。

そのまま突き上げると、古野は悲鳴を上げそうになって慌てて口を塞いだ。


『え?調子でも悪いのか?』
「ああ、そういうのじゃなくてね。それよりどうしたんだい?」


体調はすこぶるいいよねぇ?と言いたげに雨宮が笑う。

古野は悲鳴を上げそうになる口を自分の手で必死に覆っている。

ぎろりと、涙目で雨宮を睨み上げた。


『いや、借りてたゲーム返そうと思ったんだけど、今日は行かない方がいい?』
「うーん、そうみたいだねぇ」


古野を見下ろして、笑って見せる。

くぐもった喘ぎ声は、どうやら電話の向こうの中柴には届いていないらしい。

届いたところで、童貞の中柴が察することができるとは思えないが。

ベッドがぎしぎしと、苦しげに軋む。


「まあ中柴君が来た方が僕は楽しいけどね」
『は?』


雨宮の言葉に、古野は真っ青な顔で頭を振った。

雨宮は楽しそうに笑う。


「・・・・何か変な音しねえ?」


電話の向こうから聞こえる変わった音に、中柴は眉を寄せた。

そう、何か、軋むような音。


「ああ、そうかい?」


雨宮はのらりくらりと中柴の言葉をかわす。

中柴は不思議そうに首を傾げた。


「なあ、悟と話せねえ?」
『じゃあ代ろうか』


話せんのかよ、と中柴は内心ツッコんだ。

雨宮は古野に電話を差し出す。

顔を歪めた古野に、雨宮は笑った。


「ほら、古野君」
「・・・・っ」


一層強く突き上げられ、古野は声を上げそうになった。

手を強く押しつけて、それを抑え込む。


「出れないみたいだよ?」
『そうか。じゃあ明日持って行くっつっといてくれ』


どっちだよ、と中柴は顔を顰めたがそれは言わなかった。

遠くから中柴を呼ぶ声が聞こえてきた。

部活の休憩中だったらしい。

中柴は慌ただしくじゃあな、と言って通話を切った。

雨宮も通話を切ると、携帯を放り投げる。


「は!は、ぁ、も、お前最悪ッ!ああッ!!」
「ありがとう」


古野の腰を掴んで、強く突き上げる。

古野の手が必死にシーツを握る。


「あ、あ、も、だ、い、イクッ!!」
「イっていいよ、悟」


さらに早く、強く突き上げた。

古野は悲鳴のような声を上げて白いそれを吐き出した。

強くなった締め付けに一瞬貌を顰めて、雨宮も最奥で果てる。


「は、あ、あああ・・・・ッ」


中に流れ込んでくる雨宮の熱いそれに、古野は身体を震わせる。

雨宮は古野の身体を抱き上げると、壁に身体を押し付けた。


「あ、待って雨宮・・・・も、だ、ああッ」


古野の言葉を最後まで聞かずに突き上げる。

壁に背中だけを預けた古野は、体制的に苦しそうだ。


「あ、や、だ、だめぇ、雨宮ぁっ」
「駄目じゃないだろ?悟」


耳に舌を這わせると、古野は悲鳴のような声を上げた。

ぐちゅぐちゅと、卑猥な音が部屋に響く。

それが、無性に恥ずかしい。

古野は自分の顔にさらに熱が溜まったのがわかった。


「ほら、悟、本当に嫌なの?嫌ならやめるよ?」
「あ、あ、あ、雨宮・・・・ッ」
「本当のことを言ってごらん?」


雨宮は自分にそういうコトを言わせるのが好きだ。

本格的に変態だな、と古野は内心呟く。


「あ、あ、き、気持ちイイ・・・・聡一郎、聡一郎ッ」
「僕も、気持ちイイよ、悟」


古野の身体を抱きしめて、さらに突き上げた。

古野が悲鳴を上げる。


「あ、ああ、聡一郎、聡一郎ッ」
「好きだよ、悟」


その言葉に、古野が閉じていた目をうっすらと開ける。

雨宮の頬に手を添えて上を向かせるとその唇を貪った。

雨宮は目を閉じて古野の好きにさせている。

古野は雨宮の背中に手を回して、シャツを強く握った。


「ん、ふぁ!聡一郎、も、イク、イっちゃうッ」
「ああ、僕もだよ、悟」


肩に担いだ古野の足ががくがくと揺れる。

古野の頬を伝う涙を舌で拭うと、古野は引きつった声を上げた。


「あ、あ、あ、聡一郎っ、イク、イクぅッ!!」
「・・・・っ、悟!」


古野の手に、自分の手を重ねる。

シーツを握り締めていた手が、縋るように指を絡めてきた。


「あ、あ、ん、あーッ!!」


古野はびくびくと身体を震わせながら果てた。

雨宮も古野の奥で果てる。

余韻に震える身体を足の上に座らせる。


「ああ・・・・雨宮・・・・ッ」
「まだイケるよね?悟?」


笑って再び古野を突き上げた。

古野は声を上げると雨宮の首に縋りつく。


「も、ダメ雨宮・・・・明日・・・・テスト受けれないぃッ」
「後日にしてもらえばいいよ。そんなことより、僕との時間を愛して?」


そう言いながら古野の足を持ち上げた。

細い身体を軽々と浮き沈みさせる。

古野はしばらく声を上げながら雨宮を睨んでいたが、やがて諦めたように目を閉じた。


「あ!そ、聡一郎、もっと、もっと奥まで!」


雨宮の首に抱きついて、悲鳴のような声を上げる。

自分の身体を動かす雨宮の腕が、早くなった。


「あ!そ、聡一郎っ、い、イイ!ね、もっと、聡一郎ぉッ」
「は、悟・・・・本当に君は淫乱だね」


自分からも腰を動かす古野に、雨宮は目を細める。

古野は熱に浮かされたように声を上げている。


「あ、聡一郎、ねえ、もっと、聡一郎、聡一郎ぉッ!」
「仕方ないね、悟。今日は眠れないと思いなさい」


雨宮の言葉に、古野は必死で頷く。

どうせ眠れたところで、明日は起き上がれまい。


「あっ、聡一郎!聡一郎!もっと、もっと頂戴!あ、ああんッ」


ぐちゃぐちゃと、水音が部屋に響き渡る。

それすらも気持ちイイ。


「そ、聡一郎、俺のナカに出して、いっぱい、聡一郎ぉ!」
「君の望むとおりに、僕の悟」


さらに強く、古野を突き上げる。

びくりと古野の身体が震えて、一際高い声を上げた。

びくびくと自身を震わしながら古野は果てる。


「あ、あう、あうぅ・・・・」


雨宮の熱いそれが、ドクドクと中に流し込まれる。

余韻に浸る前に、雨宮が古野をベッドに押し倒した。


「まだ、まだだよ、悟。今日は寝かせてあげないからね」
「う、うん、聡一郎、聡一郎っ」


再び律動を始めると、古野が縋るように首に抱きついた。

動くたびにベッドが軋み、腕で抱き上げて浮いた古野の足が揺れる。


「あ、ああ、聡一郎、もっと、もっと激しくッ」
「君のそういうところが好きだよ、悟」


ちゅ、と額にキスを落とす。

古野の身体が揺れるほど、激しく突き上げた。


「あ、か、はッ!は、はぅっ、ん、んぁあッ」


がくがくと古野の身体が揺れる。

卑猥な水音がより一層大きくなる。

古野の腕がずるりと落ちた。

必死に雨宮の肩を掴む。

快感に、爪を立てた。

雨宮は一瞬貌を顰めて、やがて目を細めた。


「そ、聡一郎、も、イ、イク、イクぅ!」


悲鳴を上げる古野に、雨宮は余裕のない笑みを浮かべる。

雨宮は乾く喉を潤そうと唾を飲み込み、唇を舐めた。


「ああ、いいよ。何度だってイケよ。悟」
「あ、ああ、ああんッ!!」


女のような声を上げて、古野は本日何度目かわからない絶頂を迎えた。










「おーい、さと・・・・あれ?」


教室を覗き込んだ中柴は不思議そうに首を傾げる。

運動場側の列の一番後ろの席、そこが古野の席だ。

いつもならぼんやりと外を眺めているか寝ているかの古野が、いない。


「なあ雨宮。悟は?」


古野の隣の席の雨宮に問いかける。

雨宮は欠伸をしながら眠そうな顔で中柴に振り返った。


「古野君なら休みだよ」
「え?何で?やっぱ調子悪いのか?」


また雨宮が眠そうに欠伸をしている。

寝ていたのだろう、机の上に広げられた物理のノートは白紙だ。

クソがつくほど真面目な雨宮が、珍しい。


「まあそういうわけじゃないんだけど・・・・うーん、そういうことなのかな」
「はあ?」


要領を得ない雨宮の言葉に首を傾げる。

雨宮はまた、欠伸を漏らした。

立ち上がって教科書やノートをカバンの中に詰め込んでいる。


「帰るのか?」
「昨日一睡もしてないし、疲れてるんだよ」


そう言いながらまた欠伸を漏らす。

本当に眠そうだ。


「なあ、悟は?」


再び問うと、雨宮は鬱陶しそうに溜息を吐いた。

カバンを持って立ち上がると、また眠そうに欠伸を漏らす。


「寝不足と腰痛と過労だよ」


そう言って雨宮は教室を出て行った。





Fin
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初オリジナルBL小説。
攻君は雨宮聡一郎(あまみやそういちろう)、受君は古野悟(ふるのさとる)です。おまけで中柴(なかしば)
雨宮と古野は男子校で同じ寮室なんです。付き合ってんですかねこの二人は。付き合ってるんじゃないですか?(何故適当)
雨宮は基本的に変態です。何か紳士って変態っていうイメージあるんですけど私だけですかね私だけですかそうですか。
中柴は古野はともかく何で雨宮にまで偉そうなんですかね。まあいっか(いいんだ)
登場人物の名前が違う名前になってるってとこあったら教えてやってください。



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