「ん、先生・・・・」
「ん、はあ、ありおか・・・・っ」
俺の舌を絡め取っていた舌が離れて、俺の唇を舐める。
唇をくすぐる熱い吐息に、俺は身体を震わせた。
俺の腰を抱く有岡の腕に、力がこもる。
片膝を立てて足を伸ばしている有岡の足を、俺は跨いで座っていた。
有岡の背中の向こうで、世界史の資料がずらりと並んでいる。
俺が有岡の首に回していた腕に力を込めると、有岡はくすりと笑ってもう一度俺にキスをした。
暖房器具のない世界史の資料室は寒くて、吐き出す息が白く染まってゆらゆらと消えていく。
本棚の所為で狭く感じる部屋は寒いはずなのに、抱き合うお互いの身体は熱かった。
「先生、エッチしたい」
「ん、だめ・・・・帰ってから・・・・」
俺の唇に自分の唇を押しつけながら囁いた有岡に、俺は喘いだ。
俺の腰を抱いていた有岡の手が、俺のスーツの中に潜り込んでYシャツの中へ入り込む。
背中を撫でるその温かい手に、俺の身体が震えた。
「ん、ありおか・・・・だめだって・・・・っ」
「触るだけ」
ちゅ、と俺の頬にキスをしながら有岡は俺の背中を撫でる。
行為の愛撫を思い出させるそれに、俺はふるりと身体を震わせた。
「あ、ありお、か・・・・ありおか・・・・」
「先生、好きだ。好きだよ先生」
何度も囁く有岡に、俺は軽くキスをする。
有岡は嬉しそうに笑って、深く俺にキスをした。
俺の舌に、有岡の舌が絡みつく。
ちゅくちゅくと響く水音が卑猥で恥ずかしいけど、そんなことどうでもよかった。
気持ちイイ・・・・。
「夜が楽しみだね、先生」
「もう、ばか・・・・」
くすくすと笑った有岡が機嫌をとるように俺の頬にキスをする。
そこじゃないと唇を突きだした俺に、有岡は優しく笑った。
また俺の唇にキスをしようとした、そのとき、
「月代せんせー、春休みの宿題出しに来まし、た・・・・」
突然がらりとドアが開いて、生徒が二人奥を覗き込んだ。
目を見開いて固まっている俺たち二人を見て、二人も目を見開いて固まる。
手前にいた背の低い生徒から、ばさりと音を立ててノートが落ちた。
や、ヤバイ・・・・。
恋してピューピル!<ライバル編>
「今日からお前らは二年だ。また一歩大人に近づいたという自覚を持って、節度ある生活を送るように」
俺の言葉に、生徒がはぁーい、と返事する。小学校かここは。
ふと目を向けると、にこにこと笑顔で俺を眺める赤。
言わずもがな、有岡だ。
有岡は二年連続で俺が担任なことにひどくご満悦らしい。
まあこれは学年主任たちの陰謀なんだがな。
俺が担任になってから有岡が丸くなった(らしい)ので、学年主任たちが俺と有岡が相性がいいと思ってるらしい。
(そのことを話したら「だって本当に相性ばっちしだもんな!」て言いながら抱きついてきやがったからボディブロー決めてやった。)
はあ、しかし、困った。面子変わったのか。出席簿見てもさっぱりだ。誰だこいつら。
・・・・ん?阿嶋と、加納?どっかで聞いたことあるような・・・・。
俺は出席簿から顔を上げて二人が座っている席の方を見てぎょっとした!
げっ!あいつら昨日の放課後の!資料室で有岡とイチャついてたときに入ってきた!
加納と阿嶋・・・・あ、前にトイレでSEXしてたかのうかっこ多分とあしまか!
うわ、最悪・・・・こいつらの担任かよ・・・・。
つーか有岡が「だぁいじょうぶ大丈夫。心配すんなって」って言ってたけど・・・・本当に大丈夫なのか?こいつら。
別に俺はクビになってもいいけど、有岡が高校卒業できなかったら・・・・。
一人で悶々としてる俺に、有岡がふと気付いた。
有岡は俺を見て大丈夫だって、と言いたげに片目をつぶってみせる。
け、けど・・・・俺は教師で有岡は生徒だし・・・・。
そのとき、俺は悪寒を感じて身体を震わせた!
な、何だ今の・・・・。すっげー睨まれた感がする・・・・。
俺はクラスを見渡したけど、俺を睨んでる奴なんて当然いなかった。
何だ、今の・・・・気の所為か?
首を傾げた俺に、有岡も不思議そうな顔をしてた。
「有岡君の恋人って、月代先生だったんだねー」
俺の目の前にぺたんと座りこんであっけらかんと言った阿嶋を、俺は呆然としながら眺める。
阿嶋はにこにこ笑顔でジュースのストローを啜っている。つかこいつマジで可愛いな。
その隣の加納は意外そうな顔で有岡に振り返った。
「まさかお前の恋人が月代だったとはな。お前どうやって落したんだよ。こんな美人」
「び、美人?!」
加納の言葉にかちんとした俺を有岡がまあまあと宥める。
昼休みの世界史資料室に、俺たちは四人は膝を突き合わせてた。
男同士のヤり方こいつらに教わったんだよ、と有岡が俺に告白したのは数分前のことだ。
有岡は加納の言葉にんー、と宙を仰いで考えている。
「んー・・・・押し倒した」
「はッ?!」
「つーか、流した?」
有岡の言葉に俺に振り返った加納の視線を俺は缶コーヒーを飲みながら流す。
まあ・・・・確かに押し倒されて、流された。
「そんなんでいいのかよお前ら・・・・」
「大丈夫。そこに愛はあった」
もう、何言ってんだよ馬鹿・・・・。
恥ずかしくなった俺を見て有岡はにこにことご満悦だ。
はあ、と意味もなく呟いて、加納はジュースを啜る。
ラブラブだね、と阿嶋は嬉しそうに有岡を見た。
「あ、あのそれで、で、できればこのこと、誰にも言わないでほしいんだが・・・・」
「何で?」
え、いや、何でって・・・・。
加納のマジで不思議そうな顔に、俺は戸惑った。
俺の隣で有岡が呆れたように肩を竦める。
「当たり前だろ。先生は教師で俺は生徒だぜ?バレたら先生クビになんだろ?」
「ああ、そっか。安心しろよ、言わねえって」
なあと振り返った加納に、阿嶋はうんと頷いた。
ええぇぇぇ、軽いなオイ。
「ほ、本当か・・・・?」
「言わねえよ。言っても俺何の得もねえし」
ま、まあそうだけど・・・・そんなもんか?
加納の隣で阿嶋もにこにこ笑ってる。
な、大丈夫だって言っただろ?と得意げに言った有岡に俺は頷いた。
「そうだ有岡!今度4Pヤんねえ?」
「ヤんねえ」
「何でだよ。たーのしいぞぉ?な?」
「ヤんねえ」
加納の上機嫌な言葉を有岡がばっさり切り捨てる。
何でだよ、とぶーたれる加納に有岡は嫌そうに顔を顰める。
「俺他人のSEX見んの嫌いなんだよ。AVだって見ねえし」
「えー、俺月代が乱れてるとこ見てみたい」
「お前先生に近寄んな!」
えええぇぇ?!こ、こいつ何言ってんの?!
加納の言葉に有岡が俺をぎゅっと抱き寄せた。
阿嶋が不機嫌そうに睨んでるのに気付いているだろうに、加納はだってよぉと言葉を続ける。
「俺マジで初めて月代見たときにモロ好みって思ったんだよ。綺麗な顔してきっつい目ぇしてるし」
「・・・・」
「おいてめえ、否定しろよ」
何も言わない有岡を睨むと、有岡はさっと顔を反らせた。
・・・・俺そんな目つき悪いか?
「んで態度も結構でかいし、そういう女見てると、何つーかな、泣かしたくなるし鳴かしたい」
「俺女じゃねえぞ」
「多分俺亮と付き合ってなかったら月代に手ぇ出してたかもなー」
にっこりと笑った加納に、俺は寒気を感じた!
こいつ本気だ!
有岡も俺を抱き寄せる腕に力を込める。
不機嫌そうに睨む阿嶋を、加納はやっとよしよしと宥める。
「だからさぁ、有岡、4Pヤろうぜ?」
「ヤんねえよ」
やっぱりばっさり切り捨てた有岡に、加納は不満げに唇を尖らせる。
有岡は不機嫌そうに眉間に皺を寄せて加納を睨んだ。
「何でだよ」
不満そうに言った加納に、有岡はふんと笑って見せた。
「先生のエロいところ見ていいのは俺だけだ」
自信満々に言ったこいつを張り倒したいと思った。
何堂々と恥ずかしい発言してんだよこいつ・・・・。
有岡の言葉にぽかんとしてた加納は、やがて肩を震わせ始めた。
「ぶっ、はははッ!お前やっぱ面白ぇな!」
「そうか?」
「まあとにかく今回は諦めるさ」
今回はって・・・・諦める気ねえだろお前!
睨む有岡に喉の奥で笑って、加納は俺に振り返る。
「じゃあ黙っててやるからさ、時々この部屋俺たちに貸してくれよ」
「はッ?!」
こいつ何言ってんだ!
俺は教師だぞ?!そんなことできるか!
そう考えたのがわかったんだろう、加納はにやっと笑って片目を閉じた。
「いいんだぜぇ?俺は。誰かにお前らのことチクっても」
「う、ぐ・・・・」
く、くそ、この野郎・・・・教師脅しやがって・・・・っ!
言葉を詰まらせた俺を見て、加納は交渉成立だなと満足げに笑った。
返す言葉のない俺は、何とか汚すなよとだけ言い返した。
そのときドアをノックする音と俺を呼ぶ声。
「月代先生ーいるー?」
本棚の間から生徒がひょっこりと顔を覗かせた。
確か、こいつは去年も俺の受け持ちで、有岡の友達の、
「萩原」
「せーかい!これ春休みの宿題で抜けてたページでーす」
俺の言葉に萩原は嬉しそうに笑ってルーズリーフを一枚俺の手に置いた。
何とか二年連続で受け持った生徒は、うん、覚えた。
萩原は背は有岡より低いけど俺よりは高い。
髪は短くて、何かスポーツでもしてるんだろうかいい感じに焼けている。
成績は良好で、確か10位以内には入ってる。・・・・と思う。
萩原は有岡と阿嶋、それに加納に気付いて少し驚いたように目を丸くした。
「あれ、紅。お前こんなとこにいたのか」
「え?あ、ああ」
「つーかお前阿嶋と加納と仲よかったんだなー」
意外ーと萩原は屈託なく笑った。
阿嶋は眉間に皺を寄せて萩原を見つめながら、そっと加納の腕に擦り寄った。
きゅっと学ランの袖を握った阿嶋を、加納は不思議そうに見下ろした。
それに気付いているのかいないのか、萩原はそれにしてもと有岡と俺に振り返る。
「紅と先生ってホント仲いいよなー」
「そ、そうか?」
「そうだって!こいつ中学んとき教師に反抗しまくってばっかだったんだぜ?」
あ、それは今もか、と萩原はけらけらと笑った。
有岡がじろりと睨んだのを見て、萩原は口を噤む真似をしてまた笑った。
「あーあ、けど、ホント妬けるよなー」
・・・・・・は?
妬ける?妬くって、何に?
不思議そうな顔をした俺たちを見て、萩原はあ、と目を丸くした。
俺を見て、萩原は恥ずかしそうに曖昧に笑う。
「いや、俺、実は先生のことずっと前から好きだったんだよな」
萩原の言葉に、俺たちはぱちくりと目を丸くした。
特に俺の横の有岡なんて、それはもう表現しがたい。
俺は茫然と目の前で照れている萩原を凝視する。
は?何?萩原が?好き?誰を?俺?どういう意味で?
「ち、ちなみに言うとLikeじゃなくてLoveだから!」
そう言って萩原はまた顔を赤くして困ったように笑う。
俺はその言葉にまた茫然として、段々と自分の顔が熱くなっていくのがわかった。
え、えーっと、こういうときって、何て言えばいいんだ?
「あ、ありがとう・・・・」
「え?い、いや、あは、あははっ」
働かない頭で何とか発した言葉に、萩原はまた顔を赤くして誤魔化すように頭をかいた。
隣からひしひしと感じる視線に、俺は引きつった笑みを浮かべた顔を逸らした。
忘れてた。有岡ってやきもち妬きなんだよなぁ・・・・まあ可愛いんだけど。
「だから俺、また先生が担任で舞い上がっちゃって。あはは」
「そ、そうか」
「こ、今年も一年よろしくな!先生!」
萩原はそれだけ言うと逃げるように資料室を飛び出していった。
うわぁ・・・・何か、新鮮?
ちょっと感心してた俺を、有岡がこれまた何とも表現しにくい表情でガン見してる。
うぅ・・・・視線が痛い・・・・。
とりあえず機嫌を取ろうと(自分でもわかるほど)曖昧な笑顔で振り返った瞬間、勢いよく抱きつかれた!
「ちょ!有岡?!」
「やだよ、先生」
は?何が?
俺に抱きついて、有岡は唇を尖らせる。
「先生は俺のだよ。だから、他のどんな奴にだって渡さない」
そう言って有岡は俺の頬にちゅ、と唇を押し付けた。
俺は少し目を丸くして、何かすごくくすぐったくなった。
有岡の顔はものすごく不満そうで、不機嫌そうで、不安そうで、
「ふふ、馬ー鹿」
そう言って頬を撫でると、有岡はぶすっとした。
その顔を見て、俺は自分が微笑んだのがわかった。
可愛いなぁ。
「あのー、俺らがいること忘れてるよな?」
加納の呆れたような言葉に、俺たちは勢いよく離れる。
俺と有岡を交互に見て、加納は深々と溜息を吐いた。
顔を真っ赤にしてあわあわと慌てる俺たちを見て、加納はまた溜息を吐く。
「・・・・ねえ、月代先生」
俺を呼ぶ阿嶋に、俺は振り返った。
ものすごく不安そうな顔で、阿嶋は俺を見つめる。
その手は、未だに加納の学ランの袖を握り締めている。
「阿嶋?」
「あの人には、気をつけてね」
阿嶋の言葉に、俺は目を瞬いた。
有岡も目を丸くして阿嶋を眺めてる。
「阿嶋?どうしたんだ?」
「うん・・・・何となく、だけど・・・・あの人、何か怖い」
怖い?萩原が?そうか?
まあ確かに力は強そうだけど、多分有岡の方が強いぞ?
有岡は不思議そうに阿嶋を眺める。
「僕ゲイだから、今までいろんな男の人に出会ってきたから少しはわかるつもりなんだけど」
阿嶋は不安そうに顔を伏せてぽつりと呟く。
大きな瞳が、しきりに揺れる。
「暴力的な人って、どこにでもいるんだ。あの人、その人たちと雰囲気、似てる」
「萩原がぁ?」
「暴力的っていうか、何でもする、みたいな」
素っ頓狂な声を上げた有岡の言葉を聞かずに、阿嶋はそう言って黙り込んでしまった。
有岡は阿嶋を眺めて、不思議そうに首を傾げる。
「俺中学からの付き合いだけど、あいつが怒鳴ってるところだって見たことねえぜ?」
まあ、確かにそんな感じだよな。
俺去年、つーか半年ほどだけどあいつの担任やったけど、そんな奴には・・・・。
阿嶋は加納から離れると、俺の手を握り締めた。
「絶対!絶対気をつけてね!先生!」
「あ、ああ・・・・」
必死なその言葉を、俺は無下に扱うことはできなかった。
本当かどうかはわからないが、一応注意だけはしておこう。
男の性格なら、多分阿嶋の方がわかってるだろうし。
それにしても、萩原が何でもしそう、ねえ。
とてもそんな奴には見えねえけどなぁ・・・・。
「せんせー!」
最近よく聞く声に、俺は振り返る。
声の方には、やっぱり最近よく見る姿。
「萩原」
「実は昨日の授業のことなんだけどさー」
最近萩原がやたら俺に話しかけてくる。
まあ別に害はなさそうだしいっかなって感じだけど、あった。
ものすごい顔で俺をガン見してるだろう有岡の視線が痛い・・・・。
昨日もそれで苛々してたのか、・・・・うん、激し、かった・・・・。
うぅ・・・・思い出したら腰痛くなってきた・・・・。
「せんせー、今日の授業も面白かったよ!」
「そうか?ありがとう」
萩原は人懐っこそうな笑顔で俺の顔を覗きこむ。
俺はじっとその顔を見つめる。
・・・・つーか・・・・こいつ・・・・。
「ねえせんせー、ここなんだけど、俺いまいちよくわかんなくってさ。今日の放課後聞きに行っていい?」
そう言って萩原が示したページは、確かにややこしいところだった。
うん、確かに俺もここは学生時代苦労した、っけ?
「ああ、いいぞ」
「ラッキー!紅、お前は?」
「俺パス」
そう言って有岡はすたすたとどこかへ行ってしまった。
ああぁ・・・・また拗ねてる・・・・俺今日もご機嫌取りかよ・・・・。
「何だよあいつ。付き合い悪ぃーなー」
はは・・・・そうだな・・・・。
曖昧に笑った俺に、有岡の背中を睨んでいた萩原が振り返る。
俺の顔を覗き込んで、萩原はまた屈託なく笑った。
「じゃあ先生!俺放課後資料室行くから!」
「ああ」
「約束だぜ!」
そう言って萩原は上機嫌に走っていった。廊下走んなよ。
・・・・・・。
俺は資料の整理をしながら昼休みのことを思い出していた。
嬉しそうに俺の顔を覗き込む萩原の顔。
つーか・・・・あいつって・・・・。
「せんせー?」
ノックとドアの開く音に振り返ると、萩原が資料棚の奥を覗き込んだ。
俺の顔を見て、萩原は嬉しそうに笑う。
手には分厚い教科書と資料集を持ってる。
「ここなんだけどさー」
そう言って萩原は最近新調した机の上に教科書を置いて広げた。
俺がその教科書を覗き込んだ、瞬間、
勢いよく両腕を掴まれて引き寄せられた!
ぎゅうっと強く抱きしめられて、首筋に顔を埋められる!
有岡以外のぬくもりに一瞬ぞわりとしたけど、俺は抵抗しなかった。
「・・・・せんせー・・・・抵抗しないの?」
僅かに顔を上げて、萩原が小さく呟く。
抵抗するも何も、
「お前、俺のこと好きじゃねえだろ?」
俺の言葉に、萩原は大きく目を見開いた。
やっぱり、最初は全然わかんなかったけど、その内気付いた。
こいつの笑顔は、ほとんど偽物だ。
「俺も人前で作り笑いすんの得意なんだよ。だから相手が作り笑いかそうじゃないかぐらい、すぐわかる」
萩原は驚いたように目を見開いたまま俺の顔を覗き込んで、
酷薄に、その顔を歪めた。
「なーんだ。バレてたのか」
そう言って萩原は突き飛ばすように俺を放す。
その力に、俺は思わずよろめいた。
喉の奥で笑う萩原を、俺はじっと眺める。
萩原は俺を見て、薄く目を細めた。
「ホンット、あんたってつまんねえ奴だな。もっと抵抗するかと思ったのに。大好きな紅のために」
俺は一瞬自分の顔が歪んだのがわかった。
萩原は俺を見て、楽しそうに喉の奥で笑う。
「つーか教師のくせに生徒とデキていいわけ?!紅はまだしも、あんた絶対クビだぜ?」
抑えきれないと言いたげに笑いを押し殺しながら萩原が吐き捨てる。
俺は自分でもわかるほど無表情だ。
萩原は俺を見て、面白くなさそうに舌打ちを小さく打った。
突然その腕が伸びて、勢いよく胸倉を掴まれる!
萩原の顔が一気に近付いて、俺の目と鼻の先で酷薄に笑う。
「なあ、もし誰かにタレこんだら、あんたクビだぜ?」
「そうだな」
「泣いて俺にお願いしてみるか?誰にも言わないでくださいーって。考えてやらねえこともねえぜ?」
俺の顔を覗き込んで、萩原は楽しそうに歪んだ笑みを浮かべる。
成程。確かにこいつは何でもしそうだ。
阿嶋、お前すげえな。
「言いたきゃ言えよ」
俺の言葉に、萩原は驚いたように目を見開いた。
あ、何かちょっといい気味。
呆然と俺を見て、萩原は強く歯軋りする。
「有岡の名前を出さねえっつーなら言えよ」
「何だと・・・・てめえクビになるんだぞ?!」
クビ、クビねえ。
俺は無意識の内に笑っていた。
何がおかしい、と萩原が俺を睨む。
クビか。そうかクビかぁ。
「それがどうした」
俺の言葉に、萩原はまた目を見開いた。
クビ?それがどうした。そんなもんちっとも怖くねえよ。
俺はクビになるより、有岡が離れていく方が怖い。
「お前も、あいつの家の金目当てかよ」
「家?・・・・あ、そういえばあいつの父親、社長だっけ?」
そっかそっか。すっかり忘れてた。
だって御曹司ってキャラじゃねえしなぁ。
萩原はまた驚いたように目を丸くしている。
大体元々ノンケの男同士が家の金がどうのこうのなんて言わねえだろ。
俺が本気なのがわかったんだろう、萩原は舌打ちを打って俺を突き飛ばした。
「折角目ぇ覚まさせてやろうってのに・・・・馬鹿じゃねえのお前!」
そう怒鳴って萩原は机の足を勢いよく蹴った。
また舌打ちを打って、苛々しげに前髪を掴む。
「何で・・・・何でこいつなんだよ・・・・っ」
・・・・こいつ、もしかして、
「萩原」
「あぁ?」
「お前」
萩原が鬱陶しそうな目で俺を睨む。
俺はじっと、萩原を見た。
「有岡が好きなのか?」
俺の言葉に、萩原は大きく目を見開いた。
このリアクションのあたり、正解なんだろう。
大した女優じゃねえか。いやこの場合は俳優か。
流石にそれは気付かなかった。
萩原は茫然と俺を見てはっと我に返ると、強く唇を噛んだ。
俺を睨んで、やがてまた薄く笑った。
「ああ、そうだよ。だからお前と紅の仲、めちゃくちゃにする理由があるよなァ?」
「何だと・・・・っ」
萩原はニィと笑うと、勢いよく教科書と資料集を俺に投げつけた!
俺が思わず腕で庇って目を閉じた、瞬間!
勢いよく髪を掴まれて、資料が並んだ棚に頭を叩きつけられた!
重く鈍い音と激痛に、俺は目を見開く!
視界の色がおかしくなって、目の前がぐにゃりと歪んだ。
吐き気と痛みに立っていられなくなって、俺は机の上に倒れこんだ。
「う、ぐ、ぅ・・・・ッ」
「お前さえいなけりゃ、俺はいつまでも俺のままでいれたのに」
どこか遠くの方で、萩原の憎々しげな声が聞こえた気がした。
机の上から身体が落ちて、俺は必死で机に縋りついた。
歩き去っていく音と、乱暴にドアが閉まる音に飛びかけた意識が少し戻る。
い、痛い・・・・目の前がぐらぐらするし、気持ちが悪い・・・・。
けど、有岡、ありおか・・・・っ!
俺は気力を振り絞って立ち上がると、資料の棚を伝って廊下に出た。
記憶を頼りに壁伝いに教室を目指す。
少しでも気を抜けば、意識を持っていかれそうだ・・・・。
言うことを聞かない足を引きずりながら、俺は必死で教室へ向かう!
『お、萩原。あれ?先生は?』
一生にも思えるほど長い時間が経った気がした。
微かに聞こえた声に、俺は顔を持ち上げる。
ああ、目の前に、教室がある。
有岡、有岡・・・・。
『なあ紅、お前月代と付き合ってんだろ?』
『え?!』
足が、足ががくがくして動かない・・・・気持ち悪い・・・・。
目の前が歪んで、ぐるぐる回ってる気さえする。
打ちどころ、悪かったかな・・・・あの本棚鉄製だもんな・・・・。
『な、何で知ってんだよ・・・・』
『んなもん見てりゃわかるっつーの。なあ紅、あんな奴やめとけよ』
『え?』
あ、ありお、か・・・・。
萩原の薄く笑う声が、聞こえる気がする。
『あいつ、俺が好きだって言ったらあっさり足開いたぜ?』
『は・・・・?』
『なあ、あんな奴やめとけよ。どうせお前の家の金目当てなんだからさ』
違う、違う、ありおか・・・・おれ、おれは・・・・、
今まで、今までたった一度でも言ったことないけど、俺・・・・っ
『なあ紅、俺じゃだめか?』
『は?は、萩原、お前さっきからどうしたんだよ』
『俺中学んときからずっとお前のこと好きだったんだよ。なあ、紅、俺にしとけよ』
やっと教室の扉に辿り着いた。
開け放たれているドアに縋りついて、顔を上げる。
呆然としている有岡の頬に、そっと手を寄せる萩原、
「あ、りお・・・・か・・・・」
必死で絞り出した声は、情けないことに掠れていた。
小さな、喘ぎ声にも似たその声は、普通だったら聞こえなかったかもしれない。
有岡は振り返って、俺を見て目を見開いた。
「先生!」
有岡は萩原の手を振り払うと慌てて俺に駆け寄ってきた。
あ、有岡・・・・。
俺は嬉しくって、その瞬間、身体から力が抜けた。
崩れ落ちる身体を、有岡が強く抱きとめてくれる。
「先生!先生!っ、てめえ萩原!先生に何しやがった!」
萩原は茫然と目を見開いて俺と有岡を見下ろす。
強く歯軋りして、憎々しげに俺を睨み下ろした。
有岡の俺を抱く腕に、力がこもる。
「萩原、てめえ・・・・ッ!」
いきり立ち上がりかけた有岡の学ランを、俺は必死で握った。
有岡が驚いたように俺に振り返る。
力が入らない足で立ち上がろうとすると、有岡が俺を抱いたまま立ち上がった。
「は、萩原、俺は確かに、教師で、有岡は生徒で、俺たちは男同士だ」
「先生・・・・?」
「歳だって離れてるし、まだ知り合って一年も経ってない。お前の方が有岡をよく知ってるのはわかってる」
有岡は驚いた表情で俺を見つめてる。
萩原は冷たい瞳で、俺を見下ろした。
「けど、有岡は、俺のものだッ!」
必死で怒鳴った俺の言葉に、有岡と萩原は目を見開いた。
無言が、教室の中に流れる。
言った。言っちゃいけないことを、俺は言った。
俺と有岡は教師と生徒で、男同士だ。
有岡はガキで、俺は大人だ。
男女の関係じゃない俺たちの関係なんて、いつ終わるかなんてわからない。
だから、こんなこと、言っちゃいけないって、わかっていたのに。
この言葉を俺は言っちゃいけないってことを、俺は知っていたのに。
この空気に耐えきれなくなって、俺がぎゅっと目を閉じた瞬間、
勢いよく顎を掴まれて、勢いよく上を向かされた!
「んんッ!」
突然有岡が俺の唇を荒々しく貪る!
無理矢理捻じ込まれた有岡の舌が俺の口のナカを舐めて、俺の舌に絡みつく!
押し返そうとした手には力が入らなくて、崩れ落ちかけた身体を有岡の腕が支えた。
「ふ、ふ、ぐ、ん・・・・んんッ!ん、く、ふ、は、ありお、か・・・・っ」
俺の口のナカに唾液を流し込んで、俺の唇を舐めながら有岡は離れる。
俺はぐったりしながら、短く空気を何度も吸った。
「・・・・萩原、お前の気持ち、嬉しいよ」
「え・・・・」
突然のことに呆然としていた萩原が我に返る。
有岡の腕に抱かれながら、俺は萩原に振り返る。
「けど、俺、やっぱり先生が好きだ」
有岡の言葉に、萩原は目を丸くした。
「俺は確かに生徒で、先生は教師で、俺たちは男同士だ」
「ありお、か・・・・」
「歳だって離れてるし、まだ知り合って一年も経ってない。多分俺、先生のことほとんど知らない」
俺は有岡を見上げた。
涙で滲む視界に、ぼやけた有岡の姿が映る。
それはとても判別しにくかったけれど、有岡の顔はひどく真剣だった。
「けど、先生は俺のもので、俺は先生のものだ」
その言葉に、俺は目を見開いた。
萩原も大きく目を見開いている。
萩原は顔を伏せて、何か言いたげに口を動かして、小さく笑った。
「・・・・まいったな。これじゃあ、俺が付け入る隙間なんてねえじゃねえか」
「萩原・・・・」
「何も言うなよ。最初から、わかってたはずなんだがな」
辛いもんだな、と萩原は自嘲するように笑った。
有岡を見て、萩原は薄く笑う。
「俺は素直に手を引くよ。まあ、元々成就するなんて思ってなかったし」
「萩原」
さっさと教室を出て行こうとする萩原を、有岡が呼びとめる。
ドアの手前で、萩原は立ち止った。
振り返りは、しなかった。
「・・・・ありがとう」
萩原は、何も言わない。
背中を向けたまま、萩原が小さく笑った気がした。
萩原はそのまま何も言わずに教室を出て行った。
ドアが閉まった音が聞こえた瞬間、俺の足から完全に力が抜けた。
「先生、大丈夫?」
「ん、だいじょう、ぶ・・・・」
一瞬忘れていた頭の痛みが戻ってきた。
顔を顰めた俺を見て、有岡は辛そうに眉を寄せて俺のこめかみにキスをした。
「ねえ先生、萩原に、」
「あ、有岡!お、俺、あいつに抱かれたりなんかしてない!」
有岡の言葉に俺ははっと思いだして慌てて声を上げた。
突然声を上げた俺に驚いたんだろう、有岡が目を丸くする。
「お、俺、お前の父親が会社の社長だってことも忘れてたし、それにっ」
「先生?」
「お、おれ・・・・おれ・・・・」
俺を見て、有岡はぎょっとした。
俺の目から、涙が溢れ出した。何度目を擦っても止まらない。
喉が震えて、ガキみたいにしゃくり上げながら俺は有岡を見上げた。
「お、おれ、おれ・・・・おま、おまえのこと、おれ、おれ・・・・っ!」
何で、好きだって言えないんだ。
なあ、好きだ。好きだよ有岡。
お願い、わかって、有岡、
有岡は目を丸くして俺を見つめて、
ぎゅっと、俺を抱きしめた。
「先生、好きだよ」
「う、うえ・・・・あ、ありおっ」
優しく、促すように、有岡の手が俺の背中を撫でる。
ちゃんと言わなきゃ、伝わらないんだ、だから、
俺はぎゅうっと目を閉じて、必死で有岡にしがみついた。
「・・・・す、き・・・・好きだ、有岡・・・・」
「先生・・・・」
「好き、好きだ、有岡、有岡・・・・っ」
ぎゅっと目を閉じると、ぼろぼろと涙が零れ落ちた。
有岡の手が俺の両頬を包み込んで、額に唇を押し当てた。
思わず身体を竦ませると、温かいものが俺の頬を這う。
しょっぱい、と有岡が俺の頬を舐めながら囁いた。
「お、おれ、今までお前に、すきだって、言えなくて・・・・っ」
「いいよ先生」
「け、けど・・・・っ」
有岡は俺を見つめて、そっと微笑んだ。
優しい手が、優しく俺の前髪を払う。
「バカだなぁ、先生。先生が俺のこと大好きだってことぐらい、言われなくてもわかってるよ」
「あ、ありおか・・・・ありおか・・・・っ」
ぎゅっと抱きつくと、有岡が強く抱き返した。
俺はただ、必死で有岡に縋りつく。
胸に頬を擦り寄せると、有岡の手が優しく俺の髪を撫でた。
「すきだ、ありおか・・・・ありおか・・・・っ」
「・・・・先生、そんな可愛いこと言わないでよ。押し倒したくなる」
そう言って俺の顔を覗き込んだ顔は悪戯っぽく笑っていたけど、目は本気だった。
その目に、胸がぎゅうっと締め付けられる。
俺は有岡の首に回した腕に、力を込めた。
「いい・・・・ありおか・・・・」
「先生・・・・」
「ありおか、抱いて・・・・お前の好きにして・・・・ありおか・・・・」
有岡は目を見開いて、強く目を閉じて、
勢いよく俺の身体に覆い被さった。
「ん、は、はあ・・・・あ、ありお、か・・・・」
「う、く・・・・先生・・・・ッ」
俺の口のナカで、有岡のモノがぴくりと跳ねた。
ちゅうと吸い上げると、有岡が低く唸って吐息を洩らす。
有岡の手が俺の髪を掴んで、そっと優しく撫でる。
「ん、は、ぁ、ありおか、気持ちイイ・・・・?」
「ああ・・・・気持ちイイよ、先生・・・・」
有岡のモノを咥えながら見上げると、有岡はうっとりした顔で俺を見つめてた。
優しく俺の髪を撫でる有岡の手に嬉しくなって、俺は夢中になって有岡のモノをしゃぶった。
「うッ!先生・・・・そんなにしたらすぐイっちゃうよ・・・・」
「ん・・・・イっていいよ、ありおか」
そう言って強く吸い上げると、有岡が喉の奥で呻いた。
俺の舌の上で有岡のモノが跳ねて、青臭い熱いそれが俺の口のナカへ流れ込む!
「ん、んんぅッ!」
一気に喉にまで流れ込んできたそれに噎せそうになりながら、俺はそれをゆっくりと飲み込む。
ゆっくりと喉を震わせる俺を見つめながら、有岡は俺の髪を撫でる。
「はあ・・・・先生、無理しなくていいんだよ・・・・?」
「ん、んく、ん、ん・・・・ふぁ、だい、じょうぶ・・・・」
全部飲み下して小さく咳き込むと、有岡が俺の頬にキスをした。
今度は俺の番、と低く囁いて、俺を壁にもたれさせる。
ベルトを外して、ジッパーを下ろして、有岡は俺のモノを下着から取り出す。
ちゅ、と先端にキスをして、ゆっくりと口のナカへ俺のモノを収めた。
「ふ、ふあぁ・・・・ありおか・・・・ありおか・・・・ッ」
ちゅくちゅくと俺のモノを舐める水音に、俺は思わず目を閉じた。
有岡の手が俺の膝を持ち上げる。
「ん、先生、もっと足開いて」
「や、やだ・・・・恥ずかしい・・・・っ」
「恥ずかしくないよ。俺だけに見せて」
有岡は微笑んで、俺の両脚を肩に乗せる。
俺はぎゅっと目を閉じると、有岡の言うとおりに少しだけ膝を開いた。
それと同時に有岡が俺のモノを奥深くまで飲み込む。
「ひ、ひぁ!あ、ありお、か・・・・あ、アッ、あ、あ・・・・」
「先生、気持ちイイ?」
「い、イイ・・・・気持ちイ・・・・あ、ありおか・・・・ッ」
俺の言葉に、有岡はふ、と小さく笑う。
俺はここが無人の教室であることを忘れて、必死で頭を振った。
「イ、イク、あ、ありおか、出ちゃう、からぁ・・・・っ」
「いいよ。イって?先生」
有岡は薄く笑って、俺のモノを強く吸い上げた!
俺は悲鳴にならない悲鳴を上げて有岡の口のナカで果てる!
頭の中が真っ白になって、何も考えられない・・・・。
下着ごとズボンを取り払われて、俺は薄く目を開ける。
有岡が手に俺が出したモノを吐きだして、後ろの窄みをくすぐった。
そこに俺が出したモノを塗りこんで、ゆっくりと指を埋める。
ピリッとした痛みに、俺は思わず身体を竦ませた。
「ひ、ひぅ・・・・い、いた・・・・っ」
「先生、大丈夫?」
ゆっくりと根元まで指を差し込む有岡に、俺は必死で頷いた。
俺のナカにそれを丹念に塗りこみながら、そこを広げていく。
内壁を擦り上げられるその感覚に、俺の背筋が粟立った。
ゆっくりとナカをかき混ぜながら、有岡がもう一本指を差し込む。
俺はぴくぴくと身体を震わせながら、俺の背中を抱き上げる有岡の腕を掴んだ。
有岡が微笑んで指をぐるりとかき混ぜて、指先で俺の前立腺を強く突いた!
「ひ、あぁッ!あ、ありお、か・・・・っ」
「ここ?先生。気持ちイイ?」
「や、や、や・・・・は、あ、あぅ、あ、あん・・・・あ、アッ」
俺は目を閉じて有岡の腕に指を立てて、その快感に必死で耐える。
有岡は俺の顔を覗き込みながら何度も前立腺を指先で叩く。
その度に俺の身体がびくびくと跳ね、俺は思わず膝を胸に引き寄せる。
「あ、ありお、か、も、もう、挿れて・・・・」
「けどまだ辛いよ?」
「い、いいから・・・・ありおか・・・・ありおか・・・・っ」
有岡の首に縋りついて、肌蹴た胸元にちゅうと吸いつく。
有岡は一瞬顔を顰めて、優しく微笑んで俺の髪を撫でた。
ぐったりとした俺の身体を抱き上げて、有岡は机の上に仰向きに寝かせる。
「先生、足上げて。そう、胸の方に。大丈夫?辛くない?」
「ん・・・・だい、じょうぶ・・・・」
折り曲げた膝を胸の方に引き寄せて、俺はぎゅっと強く拳を握る。
有岡が俺の足を押さえて、何度も自分のモノを俺の窄みに擦りつける。
俺の身体の脇に手をついて、ぐっと俺のナカへ押し込んだ!
「ひ、ああ、あッ!ひ、ひぐっ!い、た・・・・っ」
「・・・・っ、先生、大丈夫?抜く?」
普段のようにローションで慣らしてない所為で、苦しくて痛かった。
けど俺は必死で首を横に振って、力を抜こうと何度も息を吐く。
有岡も痛みに顔を顰めながら、ゆっくりゆっくり俺のナカへ腰を押し進める。
やがて全部俺のナカへ収めきって、いつも以上の圧迫感に俺は思わず息を吐いた。
「はあ、は・・・・動くよ?先生」
「ん、ん・・・・」
俺が頷くと、有岡はゆっくりと腰を揺すりだした。
有岡のモノが俺のナカを擦り上げる感覚に、俺は喉を反らして喘ぐ。
初めはゆっくりと慣らすようだった動きが、段々と激しく、荒くなる!
「は、あ、ああぁッ!あ、あ、ありお、か!あ、あんッ、あ、アッ!」
「っ、は、先生・・・・っ」
必死で腕を伸ばして、有岡の学ランを強く握りしめる。
有岡は一度動きを止めると、身体を折り曲げて俺に深くキスをした。
夢中でお互い舌を絡め合って、俺は必死で有岡の髪をかき乱す。
やがて水音を立てて唇を放すと、有岡は身体を起こして再び俺を突き上げた。
「あ、ありお、かっ、あ、あんっ!あ、ありおか・・・・ッ」
「っ、せん、せ・・・・っ」
「あ、あ、は、す、すき、すきだ、ありおか、ありおか・・・・っ」
手を伸ばすと、有岡がぎゅっと俺の手を握ってくれた。
有岡が更に激しく、俺を突き上げる!
「っ、せんせ、今日、ゴム、してない・・・・っ」
「い、いいから、ありおか、ありおかッ!」
ぎゅっとお互いの指を絡め合って、有岡が強く俺を突き上げた!
俺の身体がびくんと跳ねて、俺は背を反らせる!
「は、あ、あァアーッ!」
俺が果てると同時に、有岡も俺の最奥で果てる!
快感と頭を打っていたことも手伝って、俺の意識が薄らいでいった・・・・。
目を開けたとき俺は有岡の膝に頭を預けていて、有岡はまだ少し荒い息をしながら乱れた髪を直してた。
俺は下はちゃんと着つけられていたけど上はまだ乱れていて、身体に有岡の学ランがかかっていた。
水で冷えたタオルが俺のこめかみに載せられていて、俺は思わず目を細めた。
「先生、起きた?」
「ん・・・・」
身体を起こすと、有岡が俺の肩を掴んでちゅとキスをした。
その手が俺のシャツのボタンを留めてスーツをちゃんと着させて、学ランを肩にかける。
「ふふ、教室でしちゃったね」
楽しそうに笑った有岡に、俺は顔が赤くなったのがわかった!
お、俺、加納のこと言えないな・・・・。
「ねえ先生、俺のお願い聞いて?」
俺を膝に座らせて、有岡が俺の頬にキスをする。
首を傾げた俺の顔を覗き込んで、有岡は微笑む。
「俺ね、先生が思ってること大体はわかってる自信あるよ」
「うん」
「けどね、時々でいいから、好きって言ってほしいなぁ」
俺は顔がまた赤くなったのがわかった。
下から俺の顔を覗き込む有岡に、俺は小さく頷く。
有岡は嬉しそうに笑って、ぎゅっと俺を抱きしめた。
「先生、好きだ」
「ん、俺も」
「帰ったらもっといっぱい愛してあげるからね」
「もう、馬鹿・・・・」
嬉しそうに笑って、有岡は俺にキスをした。
翌日、校長を経由して俺の元へ萩原から退学届が来た。
親の仕事の都合で大阪へ転校する予定だったらしい。
「一言ぐらい、言ってほしかった?」
「うん・・・・そうだな」
屋上で二人並んで弁当を食べながら有岡に問うと、有岡は頷いた。
アスファルトについた俺の手を、有岡が握る。
俺の顔を覗き込んで、包帯を巻いた俺の額に額を押し当てた。
出血をしていたわけではないが、本棚に打ちつけた個所が大きく腫れ上がっていた。
「先生」
「ん?」
「好きって言って」
有岡の言葉に、俺は思わず小さく笑った。
有岡の首に、腕を回す。
「好きだよ、有岡」
そう言って、有岡の唇に自分の唇を押し付けた。
(これからはいくらだって言ってやるよ。好きだよ、有岡)
<ライバル編・Fin>
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今回はちょっとエロメインより内容重視で。べべべ別に普段はエロメインってわけじゃないんだからねっ!
有岡はこの関係が永遠に続くと思ってる。月代はこの関係がいつか終わると思ってる。
どっちも正しいけどどっちも間違ってる。どっちも賢明だけどどっちも愚かしい。
この二人はこんな感じで、結局お互い正反対だといいなぁ。
有岡は月代にだけ口調が優しくなる。月代はいつだってそのまま。でも態度は優しい。そんな感じ。
ラブラブだけどシリアスが好きです^^つか龍瀬が作る小説ってそんなんばっかじゃね?
有岡は月代が思ってること大体はわかってる。「言わなきゃわからない」も好きだけど「言わなくてもわかってる」も好きです。
短くなるかなって思ったけど、な、長い?;
あー何か教師×生徒ものも書きたくなってきたなー^^
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